甦る木曽馬 【信州の馬刺について】

 

信州は、平安朝時代から全国有数の御牧が設置され、馬の一大生産地でした。
この日本在来種の木曽馬は、昔から軍馬や農耕馬に、時には良質なタンパク源として生活の中で有効利用されてきました。更に、馬の体温は高くて寄生虫が付かないことから、いつしか、刺身で食べるようになって、馬刺は信州の名物となりました。
 馬による作業がなくなった今日では、在来馬は希少となり、純粋の国産馬刺はほとんど食べられなくなってしまいました。現状は、馬刺の90%はカナダ、アメリカからの輸入肉です。たまに、国産のレッテル表示を見ますが、これは、輸入生体馬を日本で肥育することで国産馬と称することができるからです。 しかし残念ながら、これらの欧米種の大型馬では、飼料の調整で見た目のいい霜降肉にはなりますが、中型馬である木曽馬の赤身にあるようなコクと甘味に物足りなさを感じてしまうのです。

私は、信州の馬肉専門店として何か申し訳ないような気持ちで商売を続けてきました。ところが近年になって、日本在来馬はモンゴルから渡来していたことが、DNA鑑定で判明しました。日本民族も民謡も、そして馬も、モンゴルと深いつながりがあったようです。
 私は、日本在来種の木曽馬の馬刺を同じ血統のモンゴル馬で復活させたいと一念発起しました。
 


 自然と安全【モンゴル大草原は天然ハーブ園】

 ダイオキシンなどの環境汚染とは無縁の別天地に生まれ、自然の恩恵を全身に浴びて育ったモンゴル馬がいます。冬はマイナス40℃という過酷な自然環境だからこそ、牧野草の栄養価も高く、家畜も健全なものだけが生き残る自然の摂理がそこにあります。人工繁殖されて抗生物質や合成飼料で太らされた過保護の肉用家畜とは全然素性が違うのです。大自然のルールに従ってのみ、人も家畜も生かされる姿は感動と反省を呼び起こしました。
  私は、モンゴルに直営の肥育牧場を建設して、モンゴル産無農薬栽培の春小麦と、ほとんどがハーブ(薬草)と言われる乾草だけを飼料にして馬肉の生産を開始しました。
もちろん、馬が成体になるまでは大草原で自由に放牧されています。これが本当のオーガニックです。だから、何もしなくてもいい肉なのですが、肉の青臭さを抜くためには、約6ヶ月間、穀物飼料を与えなければならないのです。

 私たちは今、モンゴル政府とJICAの支援を頂いて、世界一の自然で安全な食肉づくりができることに生き甲斐を感じることができます。
 すばらしい自然を大切にしてきたモンゴルの遊牧民に心からの感謝で一杯です。